「言葉と声の磨き方」書評

この本を読むきっかけになったのは
私自身のコンプレックスによるところから来ている部分が大きいです。

家族や友人と世間話やたわいのない話をしているときに、私が話をすると、
必ずと行っていいほど一度は「え?なんて?聞こえなかったからもう一回言って」などと言われます。

あまりにもそういったことが多いので何度も言われると、
めんどくさくなり話すのが億劫になっていました。

自分では小さな声でいってるつもりはないのでそんなことを言われると、
相手の聴力を疑っていましたが、ある頃から、自分の声はこもっていて相手に聞こえにくい
ということに気づき、こんなことではいけない、改善しようと思い、
大きな声で話そうとしましたが、大きな声なのは意識している時だけで、話しているとすぐに疲れてしまい、
いつの間にかいつものこもったトーンに戻っているのです。

それは会社の同僚、上司、さらには初対面の人からも同じように言われ、
「あいつは暗いやつ」という印象を持たれることが多かったのです。

家族や身内はまだしも、仕事でこんな状態では不都合であることは明白でした。

そんなことからなんとかこのこもった声を、抜けるようなハリのある
声質に変えるような方法はないかとネットで調べていたら、この本が見つかりました。

読んだ人の感想を見ても、概ね評価が高かったのと、わかりやすそうな内容だったので
この本を購入することにしました。

著者は現役のヴォイスティーチャーで、これまでなかった
話すためのヴォイストレーニングのトレーナーとして、政財界、弁護士、経営者、講師、
キャビンアテンダント、インストラクター、営業マンなど多岐にわたる業種に指導を行っているそうです。

さらに、俳優、声優、ナレーター、司会者など、話しのプロにも指導経験のあることから
日本屈指のヴォイストレーナーであることがわかります。

良い声を出すためには相手に聞き取りやすい明瞭度のある声がいいと書かれていますが
日本ではコミュニケーションのための声の出し方が外国と比較して無頓着すぎるといわれています。
欧米では発声に関してはとても重要な事項で、お金をかけてレクチャーを受けることが普通に行われています。

また、外国で陸続きの国は文化の違う他民族が入り混じるため、コミュニケーション力が非常に重要になってきます

小さな島国の日本は他民族と関わることがなく、文化や言語が同じであったため対人コミュニケーションはそれほど
重要視されてませんでしたが、ネット環境、世界をつなぐ交通網が発達した現代ではコミュニケーション力がないと
生きていけないぐらいの大事な事柄になっています。

それだけに日本でもコミュニケーションにおける人に好かれる印象の良い話し方を身につけることが必要になってくるということです。
村社会だった日本がワールドワイドに活躍するために最低限必要なコミュニケーション術が
本著「言葉と声の磨き方」なんです。

そうすることで、会社でもプライベートでも人間関係が良くなり、自信を持って話すことが
出来るようになるのは確かにそうだなと納得できます。

第2章では声が出るしくみと、同じ声でも「悪い声」と「良い声」があること、
「良い声」を出すにはどのようにすればいいのか書かれています。

第3章で、良い声を出すための基本的なトレーニング法を紹介していますが、特に口の動かし方については
ほとんど出来ていないように思います。

第4章でマスターするべきヴォイス法が紹介されており、この著書の最重要項目でもあります。

第5章では声のプロである著者が教える、シチュエーションごとに分かれた声の出し方の方法について
述べられています。
これらのことを習慣づけるためには常に意識して行うことが大切だということなんですね。

CD付きなので文章を読む時間がない人でも通勤時間や休憩時間に聞くことができます。
本と併用するのが一番効果的だそうですが。

これまで小さくはないけれどこもる声で何度も聞き直されてきたわたしがこの本と音声で相手に聞き取りやすい通った声になることができればとてもうれしいですし、この本を紹介した甲斐があります。

同じような悩みを持つ方にもおすすめできる一冊です。

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